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内視鏡は細くしなやかなチューブで、患者さんにできるだけ負担をかけないようデザインされています。胃や腸の内側をライトで照らしながらスムーズに動き回り、先端に備えつけられた超小型CCDカメラが中の様子を鮮明なカラー映像でとらえます。
内視鏡検査はがんをはじめとする胃腸病の早期発見につながる有効な検査方法のひとつです。触診、レントゲン、臨床検査などにはできない“体の内を直接視る"検査なので、それだけ信頼性の高い検査方法と言えます。
食道や胃腸の粘膜の小さな変化も鮮明に映し出すので、初期症状が現れにくいがんの早期発見に役立ちます。また、より精度の高い検査のために組織の一部を採取したり、小さな腫瘍を切除・回収するなど早期治療の面でも活躍します。
胃の内視鏡検査は10~15分ほどで済む検査です。
検査の約6時間前から食べ物をとらないようにして準備します。
検査前にのどの麻酔、胃の動きを鎮める薬と軽い安定剤を注射します。内視鏡でのど~食道~胃~十二指腸までをくまなく観察します。必要に応じて色素液(色のついた液体)を散布したり、粘膜の一部を採取する検査(生検)を行います。
検査後、30分~1時間ほど休憩していただきます。
のどの麻酔が覚めれば通常通りの生活でかまいません。
ただし、生検を行った方は当日のみ禁酒・刺激のある食べ物、飲み物は避けていただきます。
経鼻内視鏡は楽に検査ができるという評価により普及しつつありますが、画質の面ではまだ経口内視鏡には及びません。確実な観察・診断をするためには高精度な検査が最重要と考えております。
そこで当クリニックでは、“楽に”かつ“高精度”な内視鏡検査を両立させるため、呼吸・脈拍のモニター下に最適な量の鎮静剤を使用し、ハイビジョンシステムの経口内視鏡による検査を採用しています。
予約状況によりますが、最後の飲食から6時間以上経っていて胃の中が空っぽの状態であれば、初診当日に検査が可能な場合があります。検査ご希望の当日朝9時から10時までの間に電話でお問い合わせ下さい。
原則として当日の胃内視鏡検査は15時までとなります。
検査結果も当日ご説明いたします。
ただし、生検(粘膜の一部を採取して行う細胞の検査)や、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査を行った場合は診断に7~10日ほど要するため、後日再診が必要となります。
日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準拠した洗浄方法を採用しています。内視鏡使用直後の予備洗浄、ブラッシング、機械洗浄、フタラールによる消毒を行っています。
すべての内視鏡の洗浄は日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡技師よりトレーニングを受けた者が行います。
また、直接血液が付着する生検鉗子などの処置具は、超音波洗浄&オートクレーブによる滅菌を採用しておりますので、安心して検査を受けることができます。
●ピロリ菌とは
2~3×0.45μmの大きさのらせん状をした細菌で、4~8本のしっぽ(べん毛)があります。このしっぽをヘリコプターのように回転させて胃の中を移動することから、ヘリコバクター・ピロリ(正式名 Helicobacter pylori)と名付けられました。この「ピロリ」という印象に残るかわいい名前はどこからきているかと言うと、幽門という胃の出口を意味する「ピロルス」から取っています。
●感染経路
日本では年齢とともにこの細菌を持っている人が増えていき、50歳以上では約70%の感染率で、全国民の約半数が感染しているとされています。人から人への経口感染(口から口)がほとんどで、家族内での母親から子供への感染(たとえば、一度口に入れた食べ物を子供に与えるなど)などで多くが幼少時に感染します。上下水道の普及率の低い、衛生状態の悪いところではピロリ菌が繁殖しやすいため、感染する人が多いとされています。従って、戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育った人は高い感染率となっています。
●胃潰瘍/十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人の90%以上でピロリ菌が陽性といわれています。ピロリ菌が陽性でも潰瘍にならない人、陰性でも潰瘍になる人がいて、ピロリ菌だけが胃・十二指腸潰瘍の原因とはいえません。しかし、ストレス、暴飲暴食、喫煙、体質などのほかの因子と比べてピロリ菌が深く関係していると考えられています。
●胃がん/胃悪性リンパ腫
ピロリ菌に感染している人は、慢性胃炎(萎縮;胃粘膜の荒廃)を経て胃がんになりやすいという成績も多く発表されてきています。また、胃悪性(マルト)リンパ腫はピロリ菌を除菌すると治るということもわかっています。
●その他の病気
胃病変以外にも、ピロリ菌は貧血、血液病、心臓病、皮膚病など多くの病気との関連も言われています。そこで、2009年に日本ヘリコバクター学会は、改訂ガイドラインを公表しました(日本ヘリコバクター学会“H. pylori感染の診断と治療のガイドライン"2009改訂版.日本ヘリコバクター学会誌:10(2):104-128,2009)。この重要な変更点は、ピロリ菌の除菌治療の適応について、各疾患にとらわれず、H. pylori感染症自体を推奨度A、つまり「強い科学的根拠があり、行うように強く勧められる」とした点です。つまり、学会としては、合併疾患の有無にかかわらず、ピロリ菌が感染していれば除菌を推奨するという姿勢を明確に示したわけです。勿論、健康保険の適用との整合性はありませんので、実際の運用は、臨床試験や保険外診療が含まれます。
●検査方法
ピロリ菌の検査は現在の患者さんの胃の状態を見るだけでなく、今後の胃の病気を予測するための大切な検査です。
検査には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を使用するものと使用しないものがあります。
上記のうち、当院では主に迅速ウレアーゼ試験、あるいは尿素呼気試験にて、ピロリ菌を検査いたします。
●除菌療法
ピロリ菌の感染が明らかになれば、患者さんとよく相談の上、除菌療法を行います。胃酸分泌抑制薬のプロトンポンプ・インヒビター(PPI)とアモキシシリン、クラリスロマイシンの抗生物質をあわせて1週間服用します。この3剤併用で、70%以上が除菌できるとされています。クラリスロマイシンを過去に使用し、耐性がある場合は除菌不成功となりますが、フラジールに変えた方法で除菌されます(90%)。
これらの治療の副作用として、軟便・下痢などの消化器症状(10-30%)や味覚異常、舌炎、口内炎(5-15%)が起こることがあります。ペニシリンアレルギーなどの既往のある方は必ず申し出てください。また、発熱、腹痛を伴う下痢、あるいは下痢に粘液や血液が混ざっている場合には直ちに薬をのむことを中止し、主治医に連絡して下さい。
●除菌判定方法
除菌の判定は、除菌薬の内服終了の4週間以上経ってから尿素呼気試験で行います。検査薬を内服してからパックに呼気を吹き込むだけの簡単な検査です。検査にかかる時間は、約30分です。検査の日は、食事を摂らず、水以外は摂取しないでおいで下さい。
約1週間後の外来で結果をお知らせいたします。